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フォースター株式会社

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ECにおけるオウンドメディア

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オウンドメディアの定義

ECにおいてもオウンドメディアは非常に大切です。私はECのオウンドメディアの定義とはECサイト側が発信するWeb上のメディアはすべてだと考えています。つまり、ECサイトのトップページや商品ページ、情報ページ、メルマガもメディアなのです。オウンドメディアというと特別なコンテンツを作るようなイメージがありますが、ECサイト側が発信する情報はオウンドメディアです。極論言えば、商品の梱包もお客さまが見ますからメディアなのです。

とは言え、ここでは、「集客できる&転換率の良いコンテンツを提供するオウンドメディア(ECサイト含む)」で考えたいと思います。

オウンドメディアの背景

オウンドメディアを作ろうという背景にはグーグルのアルゴリズムがどんどん変化し、いわゆるSEO(検索対策)が出来なくなり、検索からの集客に小手先の手段が使えなくなったということが大きな要因としてあります。また、広告からの集客でランディングページを当ててコンバージョンしていくという手段も雑誌や新聞といったマスコミだけでなく、ネット上やレビュー、口コミ、SNSなどの情報が非常に多くなってしまったため、単純な顧客動線だけでは購買までのファンネルが長くなり、転換が難しくなったことも上げられます。
TwitterやfacebookといったSNSをやられている方なら分かると思いますが、せっかくアップした画像や記事といったコンテンツが流れていってしまい、ネット上の資産にならないというのも背景にあるでしょう。
このため、ブログやニュースサイト、キュレーションサイトといったメディアがコンテツマーケティング、つまりオウンドメディアに向いているとされています。ECサイトの商品ページはネット上の資産になるのですが、その情報を保管してくれるメディアが企業側としては必要になります。なぜその商品が良いのかという背景やその企業のブランドやコンセプトの裏話や苦労話があれば情報の裏付け(エビデンス)として、ユーザーが認識しやすくなるからです。

コンテンツの重要性

ECサイトでは、検索からの集客を図るためにブログ(Wordpressが多い)を使ってオウンドメディアとしているところが多くあります。また、最近ではブロガーやキュレーターを複数使って、他のニュースサイトやキュレーションサイトへ連携かつ拡散しやすい仕組みも出来ています。集客効果を見ると侮れないメディアになってきています。ただ、仕組みを使ったとしてもいいコンテンツがなければシェアはしてくれないので、どちらにしても良質なコンテンツが必要です。

ECサイトの商品ページの作りこみは当然として、情報の補完としてオウンドメディアを考える場合、以下の様なコンテンツを作っていくといいでしょう。

1. 商品のテーマやコンセプト
2. 企業のテーマやコンセプト
3. 企業の住所や歴史、成り立ち
4. 商品企画や製造、取り寄せた時の苦労話
5. 商品の製造、プロセスの紹介
6. 商品のFAQ よくある質問
7. 商品の欠点とその解消方法
8. その商品をなぜ作ったか、なぜ売るか?
9. お客様の声(加工しないように)や社長、社員の声

他にもありますがECサイトとしては、まずこの9つの内容でオウンドメディアを作ってみてください。すでに商品を販売している方にこのオウンドメディアの作り方を説明すると「難しい」と言う声が多く出ます。これは実際に販売している方は「その頭」になっているため、オウンドメディアに必要な第3者的な見方ができない場合が見受けられます。
この場合の解決方法としては、「記者のつもり」になって取材することをオススメしています。例えば、社長や工場長にインタビューするとか、お客さまに取材するのもいいでしょう。商品にスポットを当てずに人に焦点を合わせるとそこには他にはない差別化要素が出てくることが多いです。人は差別化要素の最終手段ですからね。
特に、一方的な話よりも、対話形式のコンテンツは読みやすくなります。テレビや新聞などで対談形式をよく見ますよね?これは視聴者の方が話に入り込みやすいという理由があります。ネットでも同じです。対話形式のコンテンツは作るのも楽ですし、ユーザーにとってもイメージしやすく、頭に入りやすくなります。

「わさび方式」でコンテンツを作る

コンテンツ作りの武器として、もうひとつ、私の「わさび方式」をご紹介しています。この方式は、商品が少なく、イベントやキャンペーンも出来ない、ブランディングをしたい場合に向きます。
まずお鮨を思い出してみてください。お鮨は、ネタとしゃりとわさびに分かれています。
シャリは売りたい商品、ネタはその商品を必要とする要因とします。ここでよく出る質問が、「商品が必要な要因なんてネタとして少ない!」と言われることが多くあります。思い出して頂ければ3つや5つはあるはずなんですが、ついついネタを欲しがるばかりに、イベントやキャンペーンをやってほしいとか、新商品を紹介したいなどとなってしまいます。このためECサイトの広告、商品ページ、メルマガ、ブログ、SNSなどさまざまなメディアに送料無料イベントやポイント10倍キャンペーンばかり掲載されてしまうという、企業にとってはとてもつらい状況になってしまうことが多く見受けられます。これではブランディングどころではなく安売り王ブランドまっしぐらです。

わたしの「わさび方式」は、シャリは売りたい商品、ネタはその商品を必要する要因です。例えば、売りたい商品は「枕」で、ネタは「不眠」とします。この2つだけでコンテンツを考えようとすると、「不眠の方はこの枕がお薦め!」みたいな明らかに薬事法違反のようなキャッチコピーになってしまいます。
これでは、発展性がないので、わさびをきかせます。わさびとは何か?答えは「何でも良い」です。例えば「新幹線」をわさびとしましょう。シャリは枕、ネタは不眠、わさびは新幹線にしてコンテンツを考えると、「昨日、新幹線に乗ったはいいが、いつものようになかなか寝られなくて新大阪に着いてしまった。いつもの枕があればぐっすりなのに・・・。」こんな感じです。どうでしょうか?同じネタなのに、まったく違ってきましたよね?
新幹線に乗った方なら、うまく寝られなかったことがある方は多いはずですから、共感される方が出てくるはずです。結果から考えれば、新幹線に興味のある方、不眠の方に検索されやすくなっています。コンテンツを作る場合にはこの誰に・・・は非常に大事ですが、誰にばかりを考えていると頭が固くなってしまいますので、わさび方式を使用する場合には、わさび部分をブレーンストーミングである程度数を出すのが良いでしょう。

具体的には、ヤフーのトピックスやGoogleトレンドなどで出てくるキーワードを使うのもいいですし、テレビネタや雑誌の記事やキャッチコピーから考えても良いでしょう。10個ぐらい用意しておくといざというとき便利です。
このわさび方式の元ネタは、落語家の勉強で「3つの単語から落語を作る」から来ています。師匠からまったく関係性のないキーワードを3つ用意されて、いきなり落語を作る修行は厳しく、なかなかの至難の業です。ECサイトの場合にはシャリやネタは決まっていることが多いので、わさび部分だけを用意しておけば良いことになります。このわさびキーワードは、出来る限りネタやシャリとはかけ離れた言葉を選ぶのがコツです。宇宙とか、動画とか、計算機とかでもいいでしょう。「枕」と言う商材とわさびキーワード、ネタを合わせればいろんなストーリーが思いつくと思います。最初はストーリーが出ないかもしれませんが何度か練習するとスラスラっと出てくるようになってきます。ぜひ試してみてください。

ブランディングをどうするか?

さて、オウンドメディアでコンテンツをつくる時に、一番悩むのは実はブランディングになると私は考えています。ECでモノを安く提供するのもいいかもしれませんが、長く企業を続けていくためには安売り王ではなく、EC企業としての価値を高めなければなりません。
このためには、誰に何を訴えるか?になってきます。一番の理想は、お客さまになってくれた方が、「あの商品(サイト)は、◯◯だよね!」と一言で表してくれるのが目標です。「あの商品、すごく良いよね。なんだっけ?」ではなく、その商品やサービスをズバリ◯◯!と口コミしてくれるかどうかになります。枕だったら、「あの枕、めちゃよく寝れる!」、私が参画しているJECCICAならば、「JECCICAならECの相談が出来る!」とかです。

ここであるサイトをご紹介したいと思います。
三越伊勢丹ラグジュアリーブランドストアnorennoren.jpはこの2016年6月にソフトオープンして10月にグランドオープンする予定です。このサイトのブランディングは明らかに富裕層だけをターゲットにしていて、オウンドメディアとしてPeek-a-Noren(ピークアノレン)を立ち上げています。サイトを見てみると良く分かりますが、ラグジュアリーの世界観を大事にしていて、トップページからカートの終わり、マイページまでコンセプトが統一されていることが分かります。
今までECサイトというと、いろいろ詳細なデータ、スペック、ベネフィットなどを入れなければならないとなっていたのですが、このサイトはまったく逆です。説明文すら無い商品もあります。しかし、そこには他には無いラグジュアリーブランドの世界観をとても大切にしている、ビジュアルコンテンツがあります。ビジュアルは実は言葉を超えることが出来ます。SNSのインスタグラムはまさにこの典型例です。英語とか中国語とか日本語などに翻訳する必要が有りません。まして検索にかかる必要もないのです。好きな方が見に来て、購入するというサイトに仕上がっています。まさに他のメディアに影響されない自分たちだけのオウンドメディアと言えるでしょう。

三越伊勢丹と言えば、ファッションヘッドラインというオウンドメディアが有名ですね。ファッションという文化を伝えるというスタンスで毎日情報をアップしています。この情報一つ一つがネット上の資産になっています。必要な時に検索してみると古いコンテンツが検索上位にかかることがあります。良いコンテンツは良い資産になり、そこから集客が望めます。SNSでは無い魅力がオウンドメディアにあります。

SNSのインスタグラムは「世界を切り取る」というコンセプトに共感したユーザーが集まっています。雑誌みたいな感じに仕上がるところも若いユーザーを中心に人気があって、Googleの検索を使わずに、インスタグラムの検索でお店や商品を探すユーザーが増えています。脱Google、脱検索エンジンですね。

先ほど紹介した、ラグジュアリーブランドストアサイト(norennoren.jp)とファッションヘッドライン、そしてインスタグラムに共通していること、それは「文化」だと私は考えています。伝えたい文化をオウンドメディアで、わかってほしい方にそれとなく伝えられたら最高です。この時、共感してくれた協力者、アンバサダーとかインフルエンサーといった方々がシェアやキュレーションしてくれたら、間違いなくユーザーは爆発的に増えます。

とは言ってもなかなかすぐには出来ないと思いますので、まずはわさび方式で練習しながらコンテンツを作るところからスタートしてみるのもお薦めいたします。

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