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フォースター株式会社

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プラットフォームonプラットフォーム

プラットフォームonプラットフォームとは

私達の生活に欠かせないのが、電気や水道、ガスなどのインフラですね。私たちはこのインフラというプラットフォームの上で生活をして、仕事をしています。Eコマースでもアマゾンや楽天、ECショッピングカートや決済サービス、物流などといったプラットフォームの上で商売することになります。このプラットフォームの上で、自分たちに合ったプラットフォームを作ることを、私は「プラットフォームonプラットフォーム」と名づけています。(長いので後はPonPと略します)

EコマースにおいてPonPをどう作るのか?

Eコマースにおいて、自分たちに合うPonPをどう作るのか?を今回は説明いたします。こういったプラットフォーム戦略を提言するのはネットストラテジーの平野カール氏です。平野カール氏が言うには、関係する企業やグループを「場=プラットフォーム」にのせることで、新しい事業のエコシステム(生態系)を作ることとしています。ビジネスモデルとの違いは、このエコシステムになっているかどうかです。つまり、極端な話、何もしないのに活動するモデルがプラットフォームと呼べます。

Eコマースでプラットフォームと言えば、楽天とかアマゾンが有名ですが、すでに規模が大きすぎて中小のECにとってのプラットフォームとしては、各社にあったスタイルを考える必要があります。まずは小さく、シンプルなところから考えてみることをオススメします。

*ECには、物販もあれば、旅行ホテルの予約、デジタルダウンロード系、サービス系などがありますが、今回は物販に限定いたします。

ECでプラットフォームを考えるときに、どこで販売するか、例えばアマゾン、楽天で販売する、本店サイトで販売する、多店舗展開で販売するなどを先に検討することも多いのですが、やはり商品がなくては始められません。その商品をどうやって企画して作り、販売し、お客様へ届けるかと言った商品供給からお届けまでのプラットフォーム全体の仕組みづくりが必要です。と言っても、複雑にすればそれだけ課題も多いので、まずはPonPをイメージしながら、単一なフローから考えていきましょう。

仕入れ型:実店舗を持つ場合

ECの物販で多いのは、仕入れ型と手作り販売型になります。まずは仕入れ型です。

リアルのお店を持っている場合には、すでに仕入れルートが有りますから、お店に並んでいる商品をECに載せていくことでECを始めることが出来ます。リアル店舗のECのメリットは、すぐに売ることの出来る商品が目の前にあるのですが、デメリットは3つ有ります。

1.商品のデータがPOSデータしかなく、ECに必要な画像データや商品説明文が無い。

2.商品の在庫数が不明

3.リアル店舗が忙しすぎてECに手が回らない。

この3つの中で、一番大変なのが、在庫データでリアル店舗では在庫数を把握していないことが多いので、ここをどうするかは考えておく必要があります。中小ECだったら、最初は在庫を気にせずにまずは始めてしまう、売れてから考えるという案も有りです。最初にしっかり考えて進めるというのがあるべき姿なのですが、ECはスピードが命ですので、売れる前にいろいろ考えるより売れたから考えるほうがECに合っています。

進めるにあたって、まずは商品データをリアル店舗とECに供給できるようにして、両方で売れるようにします。顧客データ、受注データ、在庫データを統一化したいところですが時間が掛かるので、徐々にスタートしていきます。プラットフォームはエコシステムですので、まずは商品データが自動的に反映できるようにしておけば商品数をスムーズに増やしていくことができます。

仕入れ型:実店舗を持たない場合

仕入れ型で次に多いのが、リアル店舗は持っていない、またはショールームはあるが販売はECに限定する場合です。問屋さんから仕入れることも多いので、どちらかと言うとロングテール型の大量商品を扱うことが多くなります。これは、商品が同じになってしまうことが多いので、品揃えがされているか、もしくは専門性を出すのか、お客様の利便性を高めるのかなどでお客様から見た差別化をする必要があるためです。このモデルは、売れるECだと分かるとさまざまな企業からご提案が入るようになります。ご提案をすべて受けているとショップのコンセプトが崩れるので、コンセプトに合うかどうかを是々非々で判断していきます。

この仕入れ型のデメリットは、最終的には価格競争になってしまうことです。どんなに良い商品を見つけても、それが売れるとわかれば一斉に他のEC店舗でも仕入れて売り始めます。値崩れするのもこの段階です。

このため、仕入れ型は次のフェーズとして、セット商品で自社ブランド化、OEMでの生産や名前入れ、自社企画商品づくりへと進みます。

手作り販売型

仕入れ型の次フェーズを見る前に、手作り販売型の基礎を見ていきましょう。手作り販売で多いのは、自分で作ったお米や農産物などを直販する場合や、アクセサリーや洋服などを手作りして販売を始める場合です。この場合、比較的簡単に始められるものの、有名では無いために、ブランディング化とマーケティングが必要になります。CtoCで売るのであればメルカリやミンネなどを利用して実際の売れるところを経験してみるのが良いでしょう。実際の流れがわかりやすくなります。

この手作り販売型の場合には、注文が来た場合にバックオフィスができていないので、在庫の確認や発送、お客様サポートと言った接客が出来ないことが多く、せっかく購入したお客様を手放すことになります。

どの時点で手作り生産から、加工を請け負う会社を見つけるか、部分的に業務を請け負ってもらうと言った判断をする必要が有ります。

手作り商品のプラットフォームで分かりやすいのは、デザインを募集する方法や同じような商品を作っている方から商品の提供を受ける、テーマが同じ商品だけをECサイトに集まるようにするなどがあります。

次のフェーズへの移行

商品を仕入れ型も手作り生産型も、次のフェーズに行く場合、なんらか自社商品への階段を昇る日がやってきます。自社商品と言っても、工場を作ってすべて作るには勇気と覚悟が必要ですので、ある程度テストを含めて、試し販売は必要です。試作品として販売する、オークションやCtoCなどで販売することが可能ですので、試作品代をすべて賄うことは出来なくても少しは足しになります。

商品企画を行う場合、まずは違う会社の商品を組み合わせる、OEM生産を依頼してみる、現在の商品に対してカスタマイズを依頼する、名前を入れられるようにするなどまずは自社商品化への第1歩を軽いスタンスで始めることも可能です。ラッピングやおまけを入れるだけでも違ってきますね。

加工会社やOEM生産などは、地元の商工会議所や銀行、税理士などに依頼すれば、いろんな会社を紹介してくれます。マッチングサイトへの参加もいいかと思います。

このコラムでも度々出ている米のさくら屋さんでは、北海道の米作農家さんを周り、非常に美味しい米なのに、収穫時には雀の糞や石ころが入ってしまっていて、そのままでは売れない状態でした。そこで米のさくら屋さんでは、「ゆめぴりか」を自分たちでお米を精米して、おいしいお米を全国へ届けています。米作農家さんが出来ないところをECの販売側がフォローしているいい例です。噂を聞きつけた米作農家さんや北海道の生産家からさまざまな野菜の提案が来ています。

また、卵を生産している有限会社 畠中育雛場は筑前飯塚宿たまご処卵の庄では、卵だけではなく、カステラやチーズケーキなどのスイーツも製造販売しています。自社製品にプラスして、近くの醤油メーカーから自社OEM生産としてたまごがけ専用の醤油やお米なども販売しています。自社製品にプラスして他社製品のOEM品に展開している良い例です。このたまご処卵の庄には安倍首相も来てマスコミでも有名なショップです。OEM生産のプラットフォームを作ることが出来れば、卵に関係する商品ラインナップを増やしていくことが出来ます。

ソファを製造販売している奈良のモーム株式会社は、いきなり中国深センに工場を作った強者です。日本で、デザインと設計を行い、中国の工場でソファを製造します。木製部品もウレタンフォームも中国で仕入れて、工場で組み立て完成品にします。出荷は全量日本向けでコンテナに目一杯積んで出荷、国内の自社倉庫に入れて、ここから全国へ配送します。工場を持つということは工場の資産や人件費も膨らみますので、中国工場のマネジメントが出来るかどうかが肝になります。モーム社では優秀なマネジメントできる人材をうまくつかむことが出来たのが成功の要因です。この日本と中国で確立した工場プラットフォームは今や強力な仕組みに育っています。

大阪のガーデン・ガーデンでは、自社商品を企画して中国やアジアでOEM生産して輸入しています。モーム社と違って、工場を持っていないので、ビジネスモデルとしてはApple社に近いです。非常に伸びているショップで、しかもOEM生産ですので、中国の知り合いの企業や工場からもいろんな提案が入ってくるような体制を組んでいます。

工場の資産や人材を持たずにできるので、経営としては楽なのですが生産会社に任せることになりますので、契約をしっかり行う、どのようにマネジメントしていくのかが課題になります。中国で材料の仕入れや加工、生産する場合、決められた仕様で出来ているかが重要です。以前の例で言えば、入ってきた商品の75%が不良で返品になったことも有ります。

アパレルの今までの流れとビジネスモデルはとても参考になります。ブランド・アパレル側の製造、卸型から直営店戦略、その後SPAアパレルになりマルチチャネルアパレルへと顧客主義へと変わってきています。この流れは製造側から卸、小売、消費者側中心へと変化しているのがわかるのですが、ECでのプラットフォームを作るには参考になる遷移です。アパレル系ECでは、このようなビジネスモデルやプラットフォームを使って活躍しているショップが多く有ります。(夢展望や白鳩など)

また、販売側のプラットフォームを考えると、前述した本店サイトで販売、モールで売る、多店舗展開すると言った方法があります。ECで多店舗展開する場合には、お客様がそこにいらっしゃるかどうかです。お客様を無視したプラットフォームはすぐに崩壊してしまいます。

もちろんECだけでなく、リアル店舗があれば店舗連動もあります。その他、生産した商品を他のEC店舗へ卸す、商品データを作って他のEC店舗へ供給して販売するプラットフォームを作っている場合も有ります。まさにECのフランチャイズ化です。ECのフランチャイズ化で有望なのは工事が必要な商材やクリーニングなどと言った人との密着度が必要な業態です。

このECのフランチャイズ化で課題になるのは、いわゆる「ささげ」です。採寸、撮影、原稿作成の頭文字を取った業務のことで、このささげ業務が人のリソースをかなり必要とするため、ここを突破出来る体制を作れると非常に強いプラットフォームが出来ます。

まとめ

このように商品企画からお客様へのお届け、フォローまでのプラットフォームを自分たち用に作ることが重要です。エコシステム、つまりその仕組みが自動的に動き出すような仕組みづくりです。それを今のさまざまな既存のいろんなプラットフォームの上に、プラットフォームを作る「プラットフォームonプラットフォーム」というイメージで検討すると分かりやすくなります。

プラットフォームは出来上がると活発で非常に強いものが有りますが、デメリットとして複数の関係者がステークホルダーとして登場しますので、中間に位置するマネジメントを誰がどのように行うかが重要な要素になります。

まずはシンプルな流れからどのようなエコシステムに持っていくかをシンプルに考えていくところから始めて見ることがオススメな方法です。

 

川連一豊

 

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