ひと気で安心感を出しておもてなし
たくさんのお客様でにぎわい、流行っている雰囲気のことを「ひと気」と呼んでいます。
実店舗でも行列ができているラーメン屋さんや上野アメ横通りの買い物客で賑わっている状態を見ると、なぜこんなに人が集まってくるのかと思いますが、実はこの行列や賑わい感があるために、さらにお客様が増えていきます。行列が行列を呼ぶ、人が人を呼ぶと言う感じですね。
実は、ネットショップでもひと気を出す必要があります。
Eコマースで購入する時には、不安や不便があります。
この不安や不便を解消するには、いくつか解決する手段があります。
- 個人情報に対して セキュリティポリシーやSSLについて表示する。
- 商品の詳細について 大きな画像で詳細部分を見せる。生地のアップやボタンのアップなど
- 返品や送料の不安 返品情報やわかりやすい送料体系
こういった不安材料、一つ一つにそれぞれ解決策があります。
私の提案する「ネットのおもてなし」作戦として、メリットの大きい手段が今回のテーマである「ひと気」なのです。ネットショップの世界では、この「ひと気」の演出が大きな意味をもちます。理由は、それによって無味乾燥なネット上のショップが、人間の体温を感じさせる、親しみやすいものに変わるから。「人がそこにいる」「みんな買っている」という事実が、お客様を安心させるからです。では、「ひと気」をつくるにはどうしたらいいのでしょうか。
人の写真を掲載し安心感を与える
店長やスタッフの顔写真を掲載するのは、手軽な手法です。お店の活気を思わせる、さわやかな笑顔、動きのあるポーズが、「ひと気」を生みます。例えば、商品紹介のページを、あたかもお店のスタッフが商品の紹介をしているようにデザインしているお店があります。
お客様から送られてきた写真はさらに効果的です。例えば、「自慢の●●コンテスト」と称して、商品とともにお客様が写っている写真を募り、サイト上で公開します。人がネットの向こうにいるんだなという感じが出て安心感が出ます。
お客様の声を掲載し信頼を作る
さらに強力な「ひと気」を生み出す上でキーワードになるのは、「第三者評価」です。例えば、商品を購入したお客様からの声やレビューがこれにあたります。こうした客観的な評価があると、サイト上に掲載されている商品説明がウソではないこと、きちんとお客様に評価されていることの証明になるのです。そして、お客様から寄せられた商品に対する評価をそのまま掲載します。このとき、気をつけておきたいのが、ボリュームです。以前、10以上の声を載せたところ、疲れてしまうのか読んでもらえない、ということがありました。経験上、ちょうどいい数は5~10程度、それ以上になると読んでもらえない可能性が高いです。
ただし、商品ページとしてはたくさんお客様の声を載せたいところ。
そこで、「じっくり読んでもらいたい声」と「一部を見せるだけの声」を分けてページに配置してください。例えば、読んでもらいたいお客様の声をファーストビュー近くで文字を大きめで掲載し、残りは、「とにかくたくさんの声が集まっている」ことを演出するため、インラインフレーム等やレビューページヘのリンクで見せるのです。
なお、お客様の声を編集して掲載しているサイトがありますが、これはNGです。メールの言葉であっても話し言葉であっても、その人の性格が出るもの。見やすいように読みやすいように編集すると、あっさり「うそではないか?」と疑われてしまいます。お客様の声を掲載するなら、100%そのままで。それで十分に、行列感を作ることができます。
また、お客様から送られてきたお手紙などを紹介するのも1つの手です。手書きのメッセージが集まる場合には写真にとって画像で見せるのもいいです。こうしたお客様の声の中にも、ベネフィットが隠されています。ベネフィットは、ネットショップの宝物。次の新商品や試作品などにも間違いなく役に立ちます。
前述の経済産業省のデータを見ても、45%の方はレビューやお客様の声を見て買い物していることがわかっています。第三者評価になるお客様の声やレビューは重要な要素です。
マスコミ紹介記事
研究機関による実験データ、各メディアで取りあげられたさいの写真や記事なども十分に第三者評価を伝えるものです。
例えば、松阪牛の第三者評価を伝えるなら、牧場や牛舎などの写真、えさの配合についての詳細、表彰状や楯・トロフィーなど。安眠枕などに使われる低反発素材であれば、冷凍実験や吸引力テストなどの結果は第三者評価となり、お客様に商品の魅力を説得する上での材料となります。
各種ランキング
ランキング表示も第三者評価になります。モールのランキング、リアルタイムランキング、ひと気システム(リアルタイムに販売状況が表示)などもぜひ掲載したいところです。商品ページだけでなく、トップページや情報ページに掲載するのも非常に有効です。
このように、第三者評価を伝える手法はさまざまです。自分の商材にあった評価方法や評価手段をぜひ見つけてください。
当たり前のことですが、うそや改ざんは絶対にしてはいけません。ひとつでもうそが明らかになれば、サイト上すべての情報がうそではないかと疑われます。あくまで誠実に正直な情報を載せること。長い目で見たときに必ず自分のお店に跳ね返ってきます。
もし、自分の商材にあまりいい評価が無い場合でも、それはデメリット表示だと認識しましょう。誠実に対応しさえすれば、悪い評判が広がることはありません。デメリット表示は顧客の期待値のコントロールにもなりますので、ひとつやふたつ、マイナス評価があっても、「そのぐらいがちょうどいい!」という気持ちでいましょう。10人いたら4人の方に好かれたらそれはすごいことなんです。4割バッターですね。10人中10人に好かれることはありません。ということは評価も100%いい!なんてことはありません。そういうことをわかっている方はわかっていますので、マイナス評価が無いとリアル感が無いのです。人間がやっているお店ですからミスはあります。少しぐらいマイナス評価があっても気にしないほうがいいのです。
大事なことがひとつ。第三者評価や何らかの賞を頂いた時には、必ず苦労のバックストーリーを付けてください。あまりにも賞が並びすぎたり、きらびやかな評価が並んだりすると、お客様は逆に不安になります。そのため、賞をもらった背景やそれまでの苦労話をページやブログに載せておくのです。例えば「3年間、東京から京都に何度も足を運び苦労に苦労を重ねて出来上がった逸品です。」とか、「失敗に失敗を重ねて、たぶん試作品だけでも200個は作りました。時にはウレタンまみれになりながら、冷凍庫実験ではマイナス30度の冷凍庫で寝てみたのです。そしてついに出来た低反発枕がこれです。」など実際にあった苦労話を入れます。
こうすることで、やはり並大抵の努力ではここまでにはならないな・・・とか、さすがやる方は苦労されているなと言ったバックストーリーに対して評価が得られます。こうなるとファンがつきやすく、また口コミもされやすくなります。
ひと気を出して、安心感を与える。人がそのネットショップにいることを示してあげる。
これがネットのおもてなしにつながっていきます。